カニの記録 56

 

6月2日日曜日。浜松から大久保へ移動。品川行きの新幹線でこの日のライブ一緒にしてもらう堀川師匠に連絡。ハーモニカホルダーをアパートに忘れてきてしまい、前日の浜松エスケリータはハーモニカなしでやった。もしかしたら師匠持ってるかなと思いLINEで聞くと、一応探してみるとのことで、なければ大久保の楽器屋に買いに行こうと考えていた。

 

浜松を7時前に出たので、大久保には11時半の入り時間よりだいぶん早く着いてしまう。富士そばで冷たいそば食おかなと思っていたけど、長寿庵という安ソバ屋があったので、そっちにしてみる。おっちゃん一人でやってる店で、天ぷらそばが360円。安いなと思った。常連さんに愛されてる感じの店で、作業に追われるおっちゃんに変わってみんな机を拭いたり、下げものもはちゃんとカウンターの上に出してから帰ったりしていた。天ぷらうどんの天ぷらが自家製で、これが非常に重たいメリケン粉の塊、ソバの上にドーナツを乗せてるような重量感だった。東京の人は好みなんかもやけど、やっぱお汁が真っ黒で、血圧上がるやろなと思ってお汁は飲まなかった。でもまた来たいなと思った。

 

 

天ぷらそば食べたあと、どっか喫茶店でタバコ吸いたいなと思って、道端でスマホいじってると師匠がふらっと現れる。入り時間までだいぶん時間があり、えらい早いですねと聞くと、家でハーモニカホルダー探したけどなかったから買っとこうと思って、とのこと。なんかそうゆう度を超えた優しさ行動をするときがたまにあり、以前対バンした時に一万円投げ銭してくれたこともあって、ハーモニカホルダーの件も笑ってしまった。ハーモニカホルダーはまあいいんで、便所とタバコ行きましょうと駅前のサンマルクカフェに入る。アイスコーヒーは奢ってくれた。ライブのMCでも言うてはったけど、お金はあるとのこと。千昌夫やなと思った。

 

 

ほんでリハ。師匠はメヒカブレスタンダードを一旦休んで、メヒカブレスタンダードウクレレサミット(現在はメヒカブレスタに変更)っていう名前でウクレレ弾き語りを始めたところ、この日がライブ2回目。リハの間も「緊張するわー」「堤くんよくこんなのやってるね」と繰り返しておられたが、本番は逆ギレしながら走破するのを私は知ってるので、全く心配には思わなかった。リハもまあまあ時間を使っておられて、色々試してる段階なんだなぁと思い、終わるのを外で待つ。しばらくしたら「ヤバい!弦切っちゃった!」と言いながら外に出て来た。ウクレレの弦をリハで切るってどんなエモやねん!と興奮、ほんで爆笑。おそらく師匠はウクレレでグランジロックをやろうとしてるのだろう、だとしたらやっぱ唯一無二の世界感だ、と割とマジで尊敬の念。その後、私はハーモニカホルダーを買いに、師匠はウクレレの弦を買いに行く。楽器屋の店員から「やっぱり10万以上のウクレレじゃないといい音しないんですよね〜」て言われたことをあとで師匠から聞き、今でもそうゆうラッセンの絵売るノリの楽器屋の店員おるんやなと、お店のマルタさんと笑いながら話した。

 

ライブは先攻が師匠。逆ギレ交えながらいいメロディーのオンパレードで泣きそうになる。後攻は私で、まあいつも通りな感じ。ライブ後、トリキで打ち上げして別れる。

 

 

全然曲を作ってなくて10年以上前からカニコーセンが行き詰まってること、バイト追われて作業する時間がないことをサンマルクカフェで師匠にぼやくと、案外時間があっても出来ないこと多いし、行き詰まってるくらいが丁度いいんじゃないの、と特にアドバイスになってない一見適当な言葉をもらったけど、すごく気が楽になった。師匠以外の人に同じことを言われたら、多分そうは思わないシステムが自分の中に出来てるんだと思う。20歳前後の出会いは大きい。