カニの記録 62

 

蝉が鳴いてたから梅雨明けたんかなと思ったらそうでもなくて、度々雨に降られている。銭湯のバイト帰り、もうどうせ帰って30分後には寝るし、雨濡れたって別にかまへんわ的に原付で走ってる最中ふと思ったのは、信号待ちしてる横断歩道を例えばビショ濡れの小学生の女の子がフラフラと通りかかったとして、何かしらの手を差し伸べた方がええのかどうか、恐らくは家庭で何かしらあって家には帰れず、けど行くあてもなく、深夜に一人で彷徨っている、これがおっさんなら別に好きでやってることやと放っておけばいい、けど小学生だったら悪い人にさらわれてみたいなこともありえる、だからわしが「大丈夫?」なんて声をかけて、でもこちらも夜中にビショ濡れの中年だから相当に怪しく、だからこの子を心配して声をかけること自体が犯罪に思われるんじゃないかと云う不安、仮にその子が本当に行くあてがなくて、児童保護施設を調べてタクシーで同行、ほんで施設に引き渡したとして、その子が児童養護施設に入る、そして施設で上級生から虐めに遭う、牧師みたいな施設長に性的イタズラをされる、その可能性を踏まえたら、ここはわしが一旦引き取ってゆくゆくは養子にした方がええのか、いやいやそれってただの誘拐やん、離婚して家出て行ったおとん、出た先で小学生誘拐したってよ、そんなんなったら情けなすぎて多分自殺する、一体どうすればいいんやろ、この場合、、、と考え込んでるうちに信号が青になってタイムアップ、パネルに書いた回答は結局「交番へ行く」。警察死ぬほど嫌いなくせに、警察に頼るしかない自分が情けない、てか起こってもないことでいちいち情けなくなるなよBOY。

 

 

先週末はライブで水戸へ。茨城に行くにはスカイマークが便利である。機内で配られる無料のキットカットは廃止されっぱなし。茨城空港から水戸駅へはバスで移動。バスの窓から見えた茨城の景色はびっくりドンキーあり、眼鏡市場ありで加古川とほとんど変わらなかった。水戸駅の中も大資本の飲食店ばかりで、日本中どこの街もほとんど一緒。

 

 

入り時間まで40分ほどあるし、昼飯食うてへんし、なんか食いたいなと思いながら大荷物引きずって食いもん屋を探す。スマホで調べると中華屋が何軒かあり、けどどこもアイドリングタイム的に閉まっていた。ほんで唯一やってたラーメン屋に入る。

 

 

ラーメンと半チャーハンを食うたが、どちらもフニフニの食感でいまいちだった。フニフニのラーメン食いながらテレビで歌ってるファンキーモンキーベイベーズを眺める。石川県のどこかしらの道の駅、おじいさんおばあさん小学生らが輪になってファンキーモンキーベイベーズを囲み、ファンキーモンキーベイベーズは元気ソングを熱唱、次第に手拍子が起こり、サビを皆んなで歌い、風船が空に放たれ、ドローンでそれを空撮、わしは不味いラーメンをすすり、イッツアパーフェクト、これでライブの準備は整った。

 

 

対バンは飯田健二さんソロ、島崎智子さんトリオ。島崎さんはお店に着いた時からいっぱい喋っており、しばらくすると「喋るんしんどなったから休むわ」と言ってから休んでいておもろかった。ライブもモロな感じで最高だった。大人なんだからそーゆーこと歌っちゃダメなんだよとか思う人もいそうだけど、そーゆうこと歌うんが役目だから仕方がない。飯田さんはドーランを塗っていた。何気ない日常の風景に心をとめる、晩御飯も丁寧に食う、洗面所で顔洗う時もなるべく周りが水でべちゃべちゃにならないようにそっと洗う、水が跳ねたとこはタオルでちゃんと拭く、パジャマに着替えて寝る、そうゆう生活がまず中心にある、そこから歌が生まれる、暮らしの手帳を眺め読んでるようなライブだった。正味そうゆうこと出来る人が羨ましくもある。自分は堕落した生活をしてるなと思う。

 

 

22時前の終電(特急)で水戸から五反田へ移動。一緒に帰った広瀬さんとなんやかんや喋る。五反田駅でゼニヤインクの社長ご夫妻にお出迎えしてもらい、社長宅でお風呂、ビール、焼き鳥、生野菜、たくあん、カマンベールチーズ、メロン、キウイ、粗挽きコーヒー、などなどご馳走になり幸せモード。しかし時間が明け方になるにつれて両足の甲が浮腫み出す。最近、やたらと足が浮腫む。もしかしたら腎臓とかそんなんが悪いんかもしれんし、けど多分は塩分の取りすぎだと思う。麺つゆばっかり飲んでるから。

 

 

始発で五反田から新宿へ移動し、ゼニヤインクの事務所で寝らしてもらう。インバウンドのあれで宿泊代がバカみたいに高く、事務所で寝らしてもらうん本当に助かる。ほんで起きたら昼過ぎ。以前だったら少し街をウロウロしたりもしてたけど、もう最近はその元気もなく、ギリギリまで事務所の布団でダラダラさせてもらう。ほんでギリギリで吉祥寺へ向かう。地下鉄の乗り換えを間違えて吉祥寺ではなく方南町に着いてしまい焦る。

 

 

すでに遅刻してたけど何か食べてから会場へ行こうと思い、吉祥寺で肉かけチャーハンの店みたいなんに入ったが、出てきたのはチャーハンではなかった。いり卵が混ざってる温め飯の上に屑肉が餡に混ざって乗せられただけの糞貧しい丼飯、880円もするのに、ほんま東京馬鹿野郎。

 

遅刻気味で会場に着くとMOOOLSリハ中。なんとなくMOOOLSの姿を見た瞬間、自分の後輩スイッチがONになる感じがした。後輩スイッチONのままライブするん正直キツいなとドキドキし始める。でもベースの有さんがビール奢ってくれたり、離婚のこと茶化して笑ってくれたりして大分リラックス出来た。

 

 

緊張しながらライブ初めてずっと滑りっぱなし、だんだんと逆ギレ気味になり、インクラインでヤケ糞、そっからは知るかボケ的にいいライブが出来たと思う。MOOOLSのライブは後輩やから言うわけじゃないけど、本当に素晴らしかった。聞いたことない曲も沢山あった。「子供が火葬場で走り回ることは、雪解け水で手を洗うようなもんだ」とか、なんでそんなええ例え思いつくんか、そら大喜利強いはずやわ。ていうかエレピ弾いてるカフカさんの背中が可愛いかった。

 

 

自分の今が大学一年で野球部の寮を脱走したとこから始まってる、とはよく思う。脱走して直ぐに入った夜間の軽音サークルでMOOOLSの酒井さんに会って、紹介で師匠のバンドに入り、前の嫁さんと出会い、結婚し、長男と次男が生まれ、カニコーセンを始め、離婚し、でもまだカニコーセンをギリギリで続けていて、人生をレールに例えるとかどうやねんと思うけど、分岐点に酒井さんが立って居て、そこからその線路をずーっと自分は歩いてるような、そんな景色がなんとなく見えたりもする。

 

 

軽く打ち上げもあって、久々に会う人とワイワイ喋って楽しかった分、帰り道はちょっと寂しい。自分のライブ企画でMOOOLSに声かけるんとか責任重くて出来んし、水戸と吉祥寺のライブを企画してくださった笹川さん家族にはありがとうの気持ちです。大学生の息子さんがのほほんとしながらもお父さんお母さんの手伝いしてるんが非常に眩しかった。安心があるんだろうな。

 

吉祥寺から帰って映画館のバイトに行く。加藤和彦のドキュメンタリーが大人気らしい。バイト中にMOOOLSの酒井さんがマスタリング前の新譜の音源をLINEで送ってくれてて、帰ってから酒飲みつつ途中まで聴く。聴きながら、わし酒飲んでばっかで終わってんな〜と思った。飲むけど。