カニの記録 74

 

涼しなったらまた蚊。夜中、寝ている顔の周りを飛び回りよる。足も腕も噛まれて痒いく、ムヒや虫除け的なもんがないので、ハッカ油を水で解いたもんを部屋中に噴霧。で布団びしょびしょ。けど俺は寝れる奴やから、濡れた布団でも割とすぐまた寝る。

 

 

銭湯のバイトも映画館のバイトもメイトは若者だらけである。それぞれの雰囲気はというと、映画館の方は割とクールめ、銭湯の方は人情味溢れており、銭湯のお客さんからの差し入れ、ちゃんとおっさんの分を確保しといてくれる心の温かさ、勝手に新しい家族だなと認定。カンプリのバイトは社員の人の年が違いのもあって部室的、下世話な話もしやすく、なんかそれぞれに居心地が良く、ここを自分の居場所だと思ってええんやな、そう思えることが嬉しい。

 

 

先週土曜日。ライブもバイトもない日は10月でこの日だけで、もろもろ用事は溜まってるけど全部後回し、余計なこと考えない日にしようと決め、朝から湊山温泉に出かける。8時までに入れば550円だったけど間に合わず、通常料金750円。浴室に入るとバイト先の銭湯にお客さんでよく来るシャクレ気味のおっちゃんが居て、「なんや、スパイしにきとんか」と揶揄われ、笑う。ああ、もう家族、新しい家族。

 

汚い樽の水風呂が浴室の一番奥に設置してあり、それに浸かりながら風呂場全体を見渡すと、ぬるーい源泉に仰向けで沈み、口をあんぐり解放したおっさんの頭がぷかぷか浮いている。おっさんの顔を窓から差し込む日差しがゆらゆら照らす、ええ塩梅の印象画が広がっており、久々に心の底からダラけた。こないだまで続いてた躁な感じ、温泉に溶かして帰ろ、今日は、そんな気分。風呂上がって脱衣所の鏡に映った自分の顔を見ると、マリファナ吸ったときみたいに脱力していた。

 

番台で甘いコーヒー牛乳を買い、表のベンチに座ってタバコを吸う。玄関先で包丁研ぎの出店してるおっちゃんがラジカセで掛けてる軽い演歌POPのリズムが気持ち良い。ガザ地区で心臓が張り裂けてるのか、今頃、そんなん思いながら遠い空を眺めて煙を吐く。こんな平和な時間がなるべく続けばいいのに。逃げて逃げてを繰り返し、今ここなんかな、そんな感じ。


 

今この瞬間でビール飲んだら最高であろうが、そこで一日が終わってしまいそうな気がして、昼飯だけ食いにたこ八。鯖の味噌煮、とろけた鯖の脂が美味かった、さかな定食800円。車椅子のよう喋るオバン、どうゆう関係かわからんが、それをヘルプしてるオバンよりは一回り若いオジン、オバンのしらこい喋りに辟易してそなムード感で「早よ帰ろ」と繰り返し言うのがおもろかった。

 

 

もう今日は金つこうたれって感じで食後の一服しに隣のテントコーヒーでアイスコーヒー450円。こんな目の座った心穏やかな感じ、久しぶりやし離したくない。昼から元町映画館でガザ地区のドキュメンタリー2本見よかと思ってたけど、わざわざ心臓バクつかせる映画を見る日でもないかと思い、他の映画館のスケジュールをスマホで確認。ちょうどパルシネマでアランドロンの2本立てあるし、こっちの方がぼーっと出来そうと思い予定変更。

 

 

映画館の仕事やめたんが10月やから、ちょうど2年ぶり。なんか久しぶりに来たら、めっちゃええ劇場やん、と少し感動した。働いてる時は気に入らんなぁ、て部分が細々あったけど、仕事を辞めて気持ちが離れて、ほんでザックリした感覚で改める訪れると、これ文化財やで、神戸市で守らなあかんで、ていう劇場の素晴らしさに気付いてよかったね、仕事辞めたことで、自分。

 

1本目は「冒険者たち」。白人の若もんがなんやわちゃわちゃ騒がしいことしとるわ、て思いながら映画を眺めていたが、最後はなんかどよーんと虚しさ漂わせながら、ヘリからの大空撮。イージーライダーと感じ似てるなと思う。2本目は「若者のすべて」170分。全然内容知らんと眺めるだけのつもりで見始めたが、内蔵抉られるような凄まじい話だった。家族ていうもんのややこしさ、人をとことんまで落とす嫉妬のパワー、右手の人差し指噛んで身を捩りながら見た。頭に焼き付いて離れなさそうな件がいくつもある。ボクシングで世界チャンピョンなったアランドロンが乾杯の席で話した、田舎で家の棟上かなんかするときに大工がする呪いみたいなん、一番最初に通りかかった人の影に石をぶつける、それは生贄の代わりにするようなもんで、、、のとこでカメラがアップするんは落ちるとこまで落ちた、壁に貼ってある次男の顔写真、自分の人生に於いても心当たりがある話で、身震いが止まらんかった。で、やっぱ脳の裏にはこの写真。

     

 

実際私もこうゆう写真を撮ってまう父親ではあった、無自覚に。


で、ちょっと話飛ぶけど、先々で公開される予定のドキュメンタリーがあって

 

 

これ。このチラシの写真めちゃくちゃ怖くないすか。ほんでわしの実家の写真と無意識の構図的にめちゃ似てなくないすか。わし寒気止まらんかったんすけど、この写真見て。また元町映画館でも公開あるかもなんで、絶対見るべき映画だと思います、特にわし。

 

 

話、アランドロンに戻るんですが辰巳ヨシヒロの「けものなみだ」ていう酷い一話がありまして、それ多分「若者のすべて」見て描いたんやろなと思ったり、そうゆう発見もあるすごい映画でした。ツッコミどころも結構ある。

 

 

パルシネマでゲッソリしたまま中畑商店へ外呑みしに行き、神戸の個性派の会話を盗み聞く。焼肉のタレをすすりつつ酒を5マス進ます。

 

 

してその後、お好み焼きさか田さんで12マス酒を進ませて、訳わからんなる。朝起きたら、自宅のパソコン机に空の丼鉢があった。覚えてないけど、おそらく酔うて帰って寝る前にどさんこ作って食うたんだろう。

 

 

翌日は春日野道でライブ。

 

 

ちゃちゃっとやって、ささっと帰る。

 

で、来週のライブの宣伝。

 

 

ライブ6本続くけど、これ、気合い入れてやらなあかんのわ。理由は色々とあるが、ライブで言う、覚えとったら。

 

 

シールは貰えんねん、タダで。

 

 

タオルは売りもん。タオルとTシャツはなんぼあっても困らんし、買って損はないでしょう。わしも買う、可愛いから。

 

と言うことなのでチケットご購入お願いします。

 

Live Pocketにて販売

 

湊河湯編 https://t.livepocket.jp/e/gogominatogawayu2024

 

◎工藤祐次郎 × カニコーセン 銭湯ライブ

~風呂上がりのコーヒーゼリー~

 

 

10/15(火)ゴーゴー湊河湯編

場所)神戸 湊河湯

   兵庫県神戸市兵庫区東山町2-3-5

出演)工藤祐次郎 / カニコーセン

時間)OPEN18:30 / STARAT19:00

前売)3500円 (+1D ¥500)

◎特典ステッカー付き